「子育て」ではありません。「子育ち」です。
「子育て」は、子どもを育てる側、つまり「大人」を主語としています。
「子育て支援」は子どもを育てる側、つまり親・大人の支援を意味します。
「子育ち支援」とは、まず子どもの育ちを中心に据えて、
そのためには私たちがどういう社会をつくっていくのか?
どういう条件整備をすればいいのか?を考えていくことです。
大人の思いこみやマニュアルは通用しないので、
絶えず子どもと大人(あるいは大人同士)の間で
コミュニケーションが取れる関係をつくっていかねばならなりません。
そして、大人が子どもの育ちに寄り添いながらともに考え
課題解決を目指していくというスタンスを取らないと実現不可能なのです。
その意味では、私たちの目指す社会のあり方全体を問い直すための
キーワードにもなっています。
今日、国や地方自治体では「教育振興基本計画」の策定をはじめ、
「放課後子どもプラン」「学校支援地域本部」「育児支援」といった施策が花盛りです。
都道府県では「全国学力テスト」の結果開示に躍起になっています。
順位にこだわったところでも1位〜47位のどこかに位置づくだけです。
なぜそこまでこだわるのでしょう。
ここにひとつの「子ども観」や「教育観」が見えてくるわけです。
確かに、地域でもさまざまな「子ども」を対象とした
市民活動が繰り広げられているのですが、
どのような「子ども観」で取り組まれているのでしょうか。
それらは本当に「子どもの育ち」や「地域の実情」的確に捉え、
当事者主体で行われているのでしょうか?
国連子どもの権利委員会でも、
国や自治体は子どもの最善の利益を保障するよう指摘され続けています。
今回は、近々の子ども政策・施策、実践から「子ども観」について語り合い、
本当の意味で子どもの主体的な育ちを支援していくための
環境づくりとは何かを考えていく必要があるのではないでしょうか。
「子育ち」を学術的に捉えようとする積極的な取り組みとして
「子育ち学」も提唱されています
。子どもたちが置かれている現実から出発します。
育ちの困難に直面している子どもたちに寄り添い、
子どもたちの自己実現を支援する本当に有効な方法を、
実践に根ざして明らかにする学問を目指しています。